2011-05-10 ホームページを開設しました。

まだ工事中のところもありますが、今後コンテンツを充実させていきたいと思っています。

2011-05-15 Webマガジン『我逢人』を刊行しました。



上記の写真は、大阪府高槻市にある史跡今城塚古墳の埴輪祭祀場(復元)です。今城塚古墳は6世紀前半に築かれた継体天皇(聖徳太子の直系の曽祖父)の真の陵墓といわれており、埴輪祭祀場には家、人物、動物など200点以上の形象埴輪が整然と並んでいたそうです。大王の埴輪祭が再現されているのは日本でここだけです。現在は「いましろ大王(だいおう)の杜(もり)」として整備され、2011年4月1日には公園の中に「今城塚古代歴史館」が開館しました。4月下旬、新緑の光をゆっくりと浴びてきました。(横山)

「NYの街角で・・踏み出す先にあるものは?!」

震災の復興とともに

 横山 慶一


 2011年3月11日14時46分。大阪市内は結構おおきな揺れであったらしい。「らしい」というのは、私は初打ち合わせのため地下鉄に乗っており、その揺れを感じなかったからである。
 15時過ぎ。打ち合わせを始めた喫茶店で、「東北がえらいことになっとるらしいで!」という会話が周囲から聞こえてくる。「へぇ、地震があったのか」、さして気にもとめず「さぁこれからどんな仕事を創っていこうか」と話を切り出していた。相談相手は毛利聡子氏。キャリア・教育コンサルティングを具体的にどう実現するか? このグループが生まれる瞬間だった。
 私たちにできることは、こころの問題や生きることについて迷っている人への支援、そんな人びとが活躍する「場」を成熟させることである。「場」とは企業・組織はもちろん、学校現場そのほかあらゆる場所なのであり、丁寧はカウンセリングをしながら、さまざまなところで生きていく人たちのライフ・デザインを応援できるプロでなければならない。今までに積み上げてきた社会経験とカウンセリング・スキルとを融合するという新しい試みにチャレンジは、地震とは関係なくでき上がっていた...

今回の東北地方太平洋沖大震災で被災された多くの方々にお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。

 まさかこの時に、このような事態が起こっているとは...
 震災によってすべてをうばわれた人がいる。これから自分たちが本当になすべきことはなにか、非日常を経験した人に対してもライフ・デザインのプロとして向き合えるのか大きな課題を突きつけられた。
 4月1日、震災復興支援を含めた課題に対する決意を込めて発した「Toi Toi Toi !!! 」という言葉がこのプロジェクト活動の名称になった。ロードマップはすぐに描かなければならない。これからやるべきことは50年、100年のプロセスである。


創刊に際して

 毛利 聡子


 「我逢人」(我、人と逢うなり)。禅語を集めた書物によると、道元禅師が中国で念願の師に出逢った時「まのあたり先師をみる。これ人にあうなり」と言葉に表したという。自分だけで考えて行動していたのでは見つからないことがある。だからその人との出逢いこそが全ての始まりだと思った、という感動の言葉だそうだ。
 そのような出逢いが一生のうちに何度あるのだろうか。いや、師との念願の出逢いでなくとも、日々の些細な、あるいは偶然の出逢いが人間を広く深く成長させてくれることだってある。
 カウンセラーとしてクライアントに向き合うとき念頭にある思いも同じだ。「逢うことから全てが始まる」。同じ時代、同じ瞬間を生きる者として出逢い、ほんのひと時その方の心に出逢い、魂に寄り添わせていただく。人と人との出逢いの尊さを学ばせていただく。
 東北地方の大震災と放射能問題に直面している今、被災された方々の張り裂けんばかりの痛みを感じつつ、同じこの時を生きる者として何ができるのか、何をしなければならないのか自身に問う日々である。

 そんな中始動した「Toi Toi Toi !!!」。人との出逢いは何かを生み出す。横山慶一氏との出逢いによってこの「Toi Toi Toi !!!」が生まれたように、一人では見つからないことも、人に出逢えば見つかるかもしれない。「Toi Toi Toi !!!」の一員として活動する中でどんな新たな出逢いがあり、何が生み出されるのか、わくわくしている。

Toi Toi Toi (トイトイトイ)命名の由来

 Toi toi toi は、ドイツ語で「大丈夫だよ!しっかり!」とか、「くわばらくわばら」というニュアンスで相手の成功や幸せを祈る言葉です。カウンセリングの世界ではうつ状態の人と関わる時など、単純に「がんばって!」といえないことがたくさんあります。そんな時にストレートな励ましよりも心を込めて使ってみたい言葉です。その由来を辞典やインターネットで少し調べてみました。
 おめでたい話や幸運に関係する話をダイレクトに言うと、悪魔が寄ってきて災いをもたらすと信じられていました。その時に悪魔を追い払う魔除けのおまじないが「トイトイトイ」となりました。Unberufen!(=やべっ、ついしゃべっちゃった!)と言いながら、「ぺっぺっぺっ」とつばを3回吐くのが慣わしだったそうです。さすがにお行儀が悪いので、つばを吐く代わりに Toi, toi, toi.と唱えるようになったのだとか。また中世の習慣(芸人の出番や試験などの前に肩越しに3回つばを吐く)から来ているとの説もあり、今日でも演奏会などで舞台に立つ演奏者に舞台袖で「トイトイトイ」と声をかけます。「トイ」は、Teufel(悪魔:トイフェル)の省略音で、これを3回唱えたことから来たとする説もあるそうです。
 いろいろな相談を受けた時やカウンセリングを行う際、自力で幸運を導き、つかみ取って欲しいと思っています。悪魔を寄せつけないおまじないとともに、自らの成長を後押しできる支援を行っていきたいという思いを込めて命名しました。(横山)



金銭基礎教育Money Connection® 授業について

 4月21日、大阪市立第二工芸高等学校で、金銭基礎教育Money Connection® の出張授業のファシリテーターをしてきました。対象はこの春入学したばかりの1年生70名です。定時制のためみな昼間はアルバイトなどで働き、夜通ってきます。お金と仕事のことについてゲーム感覚で学ぼうというプログラムに時々歓声をあげながら、楽しそうに参加してくれました。この学校を卒業したら専門学校に通う生徒が多いということですが、ぜひ自分の特性や将来のことを考えて、慎重に、そして夢をもって進路を決めていって欲しいと思います。
 この「金銭基礎教育Money Connection®」 は元々ニート予防のために考えられたプログラムです。ニート問題を解決するため、そして高校生がお金と仕事について学ぶことで、より現実的に将来の選択肢を考えられるようにと開発されました。正社員、フリーター、派遣社員などのグループに分かれ、月収も15万、30万、100万を想定、また10年後、20年後にどう暮らしているかを想定してシミュレーションすることで、自分の将来を現実的に考えるきっかけを与えてくれます。
 2007年にスタート以来、全国の高校でこの授業が広がっています。教育現場ではこれまでお金のことはどこかご法度的な空気がありましたが、「生きていくためにはお金がかかる。どれくらいのお金が何にかかり、お金を稼ぐには学生の今何をすべきなのか」を考えることはとても大切なことではないでしょうか。
 これからもこの授業が多くの高校に広がり、若者が将来後悔しない進路選択ができるよう、働きかけていきたいと思っています。(毛利)

CCBC-Projectとキャリア・シート

 2011年2月にキャリア・コンサルタント有志(有資格者の方々)が集まり、その専門性が社会的に認知され、責任と高い意識をもって業務を遂行できるビジネス基盤を創る具体的なアクションを検討するプロジェクト「CCBC-Project:Career Consultng Business Creation Project」を立ち上げて活動しています。
 その活動の一つにキャリア・シートの定着化・普及促進があります。
 ジョブ・カードというものがありますが、これはもっぱら再就職用で、「正社員経験の少ない人」が対象という点で、通常の学校での活用にブレーキをかけているようです。カードの内容自体はとても良くできていおり、新規採用をめざす学生にも十分に有効活用できるものです。現在、ジョブ・カードを学生にも活用してもらおうという方向性が出されていますが、厚労省と文科省の管轄の違いや、(雇用視点のみで)キャリア教育の視点がまだ盛り込まれていない点から、学校で使う理想的なツールになるには少し時間がかかりそうです。
 そこで、キャリア・コンサルタントが、従来実施している「キャリアの棚卸し」によって引き出した学生の強みを、ジョブカードと同様のシートに書き出させることで、一貫したキャリア教育・指導を実施し、就職活動時に必要なエントリーシートを自信を持って書けるようアドバイスすることを検討しています。
  学生向けの「キャリア・シートA票」はToi Toi Toi !!! ホームページのライブラリからもダウンロードできるようになっていますので、学生指導でキャリアの棚卸し等を行っておられる方はご試用いただけると嬉しいです。(高校での活用も検討中です。)
 なお、キャリア・シートに関するお問い合わせ、ご意見・ご要望がございましたら、ぜひシートに記載されているメールアドレス(CCBC_01@otofuku.com)まで送りください。できるだけ汎用性が高く効果的なものにしていきたいと考えております。(横山)


キャリア・シートA票のダウンロード:
LinkIconキャリア・シートA票



お問い合わせ先メールアドレス:
CCBC_01@otofuku.com



世界でいちばん深い呼吸

 5月から1歳10ヶ月の息子と週一回の親子教室に通い始めました。古い住宅街にある小さなお家が親子の集いの場です。玄関まで5メートルほどの細い路地には草花が植えられ、季節の花が迎えてくれます。となりのトトロのような昔ながらの木造のお家に入ると和室の床の間にはフェルトや布で春の野山の様子がしつらわれ、おもちゃも木の実やまつぼっくりなど自然のものや、毛糸やフェルトなどで作られた手作りの人形や動物など、素朴ながらぬくもりが感じられ、こども自らが創意工夫して遊べるおもちゃが揃えられていました。登園・自由遊び~かたづけ~朝のあいさつ・わらべ歌~手洗い~おやつ~ごちそうさまのあいさつ~外遊び~さようならのごあいさつと、流れも決まっています。息子にとっては初めての決まったお友達との集団生活が始まりました。
 この親子教室はシュタイナー教育に基づいています。



シュタイナー教育に関してはこれまで全く知識がありませんでしたが、『おとながこどもにできること - シュタイナーのこどもの育てかた』(ローター・シュタイマン著、春秋社)を読んで、ここに通ってみようと決めました。子育ては毎日試行錯誤の連続です。これでいいのだろうか、時には今日はひどいことを子供にしてしまった・・と落ち込むこともあります。世の中にはたくさんの育児書、幼児教室、メディアと情報が溢れんばかり・・そんな中から導かれたこの小さな家にまずは楽しんで息子と通ってみようと思います。毎週木曜日、7組の親子がこれから1年間この家に集い、こどもたちの遊びを見守りながら、母親どうし語らう中で荷を下ろしたり勇気をもらったり、そんな場になったらいいなと思っています。

 そうそう、タイトルの「世界でいちはん深い呼吸」に今回は言及できませんでした。また次回以降に触れさせてください。(毛利)


【ことば】

小國寡民(しょうこくかみん) (老子 第80章)



 「小国寡民」は「無為自然」とともに老子の思想の中核をなすもの。字のごとく国は小さく、人民が少ないことを理想とする、現在とは対極の国家観である。現在の日本は、過剰な情報と我欲のすべてを満足させる文明の利器で満たされている。にもかかわらず満足をすることを知らない。その反面、知識や富、技術進歩やGDPの増加が必ずしも個人の幸福に直結しない、むしろ過信からおおきなしっぺ返しを食らうことを体験している。
 老子の理想を現代社会に当てはめて考えると、自給自足(グローバル化の反対)、少量化(大量生産、大量消費、大規模化の反対)、分散化(一極集中の反対)、価値観の逆転(効率化、高収益、成果至上主義からの転換)といった、今日の進歩とは真逆方向の一見ネガティブと思われる発想が並ぶ。しかし小国寡民を古い村社会への復古主義と捉えるべきではない。
 そこには老子特有のパラドックスが込められている。これは小さく収まってしまうことを意味しているのではなく、小国それぞれが独立しており、相互に自立的関係性を保つことを意味する。拡大しか許さない発展ではなく、それを越えて含む新しい考え方である。震災という自然災禍、原子力発電所の爆発という人災、その他多くの社会的問題を経験しつつ、このような逆説的な発想から新しい未来を開くことができるのではないだろうか。皆さん、いろいろ考えてみてください。
 凡人である私にとって、これは「身の丈の満足を知りなさい」との教訓です。「決して背伸びをせず、必要以上の欲を出さずに自然体であれ」がこの言葉から受けたメッセージです。(横山)



 東北大震災と同時に産声を上げた「Toi Toi Toi !!!」ですが、立ち上げに先駆けてホームページのオープンを計画したものの、活動の具体化やキャリア分析を進めていくうちに伝えたいことがどんどんと変化したため、予定より20日近く遅れてのオープンになってしまいました。
 このWebマガジン『我逢人』も皆さんにお伝えしたいことをしっかりと書き込んでいきたいという思いから発行が遅れてしまいました。ただ、いったんスタートすれば、インターネットの世界では思いを瞬時に、手軽に伝えることができます。
 今回ホームページ作成では、skypeが大活躍しました。ちょっとした時間に、関係者でオンラインで原稿を共有し、オープンの直前までやり取りしてました。PC画面の共有だけではなくカメラを取り付けるとテレビ電話にもなりますので今回の震災の被災地とのコミュニケーションに役立っているのではないでしょうか。(インターネットのインフラはかなり復旧しているようですので。)
 ブログその他の交流を通して、皆様のご意見も加えながら、読みやすくおもしろい内容を発信していきたいと思っています。次号は6月中旬に発行予定です。


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